SSブログ

初代大阪教育合同委員長、増田さんを偲ぶ

大阪教育合同堺支部HPより転載


すでに数日が経ってしまいましたが、私たち大阪教育合同労働組合の初代執行委員長である増田賢治さんが去る3月21日、亡くなられました。享年73歳、今日ではまだまだ若すぎる死と言わざるをえません。

「労戦統一」の名のもとに、労働運動の多くが労使協調的労働運動を鮮明にした連合になだれ込んだのに抗して、その一部となった日教組と袂を分かち、全労協に結集する大阪教育合同労働組合を1989年に立ち上げたのが、増田さんを中心とする結成当時の執行部の面々でした。

教育合同結成の意義は、単に日教組に対する左翼反対派労組の立ち上げというような政治路線上のあれかこれか、というような表面的なものではありません。

当時の日教組の主流・反主流を問わず侵されていた本工主義・教員中心主義を断固として排し、非正規労働者(学校現場においてはいわゆる講師・臨時職員と呼ばれる人たち)への差別を正面から批判してその差別を廃絶するために正規と非正規の労働者が対等に組織する労働組合であると自分たちを位置づけ、同時に公立学校のみならず私学・民間部門、さらには塾・予備校なども含めた教育産業全体をカバーする産業別労働組合を目指す第一歩をも踏み出したのでした。

結成当時高々と掲げられたこの理念はその後もさまざまな形で血肉化され、結成以来20年を超える府労委・中労委・裁判闘争で最終的に最高裁で勝利して、教育合同は労組法上の混合組合としての地位を確立しました。また、組合員構成でも、現在はすでに労組法適用組合員が地公法適用組合員を大きく上回る人数となっています。

そういった組合結成以後のおよそ10年近くを委員長として闘いを牽引されたのが、増田さんでした。今でも、当時を知る組合員の脳裏に鮮明に残っているのが、1995年のおおさかユニオンネットワーク主催の春闘総行動で某企業への申し入れ行動に赴いた際に、会社側の人間から増田さんがナイフで腹部を刺されるという重傷を負い、その後、数カ月にわたって全日建や全港湾、その他多くの労組の仲間の支援の下、徹底的な糾弾闘争を展開したことです。

増田さんはこの時、一命をとりとめて一定期間の入院の後、仕事と組合活動に復帰されました。口さがない周りの者は「増田さんのおなかの脂肪の厚みが命を救ったんや」などと言っていましたが(笑

そんな増田さんが委員長の当時、私たち後輩に口を酸っぱくして言っていた言葉があります。

それは、「私たちのような少数派の運動にとって警戒すべきことは2つある。ひとつは<弾圧>であり、もうひとつは<無視>である。」という言葉です。

<弾圧>に関しては、文字通りの意味であり、今まさに全日建関生支部が集中砲火を受けているところです。もちろん、関生支部が「警戒」を怠っていたというわけでは全くなく、私たちのような組合より何十倍も何百倍もはるかにそれに備えていた組合ですが、それでも権力は所かまわず弾圧をかけてくるわけです。

<無視>を警戒すべき、というのは、まさにそれが少数派の運動が生命を得るよすがでもあるからです。「数」を凌駕する「質」をどう獲得するのか、それはまさに、職場で大衆的に運動をどう展開していくのか、私たちの闘いをどれだけオープンにして職場闘争のイニシアティブを握るのか、そこに少数派の運動が実は多数を握ることができる鍵があるからです。

どれだけいいことを言っていても、閉じられた密室の中でのみ運動をおこないその結果を明らかにしない、などというのは大衆的労働運動ではなく単なるサークル活動です。「それでもいいんだ」などと少数派に自足する、などという発想は本末転倒です。

今、この国の多くの社会的運動がネットでも無視され、リアルでも無視され、存在しているにも関わらず「視えない存在」に押し込められています。そこからは運動の発展は展望しにくいです。

少数派であるからこそ運動を満天下に晒していく、それが今、問われていると思います。関生支部にかけられている弾圧についても、弾圧反対の闘いに結集する多くの仲間たちは、まさにその反弾圧の運動をこの国の隅々にまでさまざまなチャンネルを通して広めていくことに意を砕いているところです。

こういったことを後輩の私たちに伝えてくれた増田賢治さんが、もういなくなってしまいました。

後を受け継いだ現在の教育合同が、この結成時の意思をどれほど継承していくことができるのか、踏ん張りどころです。

心からお悔やみ申し上げます。
nice!(1)  コメント(0) 

日本の労働者の有給休暇取得はなぜ低いのか [ニュース記事など]

2016年の調査で労働者の平均有給取得率が49.4%ということですが、いわゆる非正規雇用の不安定な雇用の労働者の場合、有給休暇という概念すらないのではないかと思っています。
シフトなどで休みを調整されて、普通に土日や祝日の休みすら取れていないのが現実ですからね。
以下、ニュース記事。

「休んでいい」「休みなさい」と「お国」も言ってます!


4月開始「有給休暇の新ルール」の大事な基本


3年連続で有給取得率が世界最低の日本(エクスペディア・ジャパン調べ)。政府は年次有給休暇の取得率を2020年までに70%とする目標を掲げているものの、2017年の取得率は51.1%と、依然として大幅なかい離がみられます。
そうしたなか、2019年4月から労基法改正による5日間の有給取得義務制度がスタートします。『ゼロからスタート!  澤井清治の社労士1冊目の教科書』の著者でLEC東京リーガルマインド専任講師・社会保険労務士の澤井清治氏が解説します。
.

■ここが変わる! 「有給消化のルール」

 みなさんは「年次有給休暇の新ルール」をご存じでしょうか。今年2019年4月1日から、年次有給休暇が10日以上発生した社員について、会社は発生日から1年の間に最低でも5日間の有給休暇を消化させなければならなくなります。

 もし、消化させることができなかった場合には、罰則があります。会社は労働基準法違反として30万円以下の罰金刑の対象となるのです。ですから、会社としては有給休暇を取得していない社員に対して会社が「日付を指定して強制的に休ませる」ことになります。
.

 厚生労働省の「就労条件総合調査」によれば、2016年の1年間に企業が付与した年次有給休暇の1人平均は18.2日、そのうち労働者が取得した日数は9日。取得率は わずか49.4%です。

 取得率が最も高いのは複合サービス事業(郵便局や農協など)で64.6%。最も低いのは宿泊業、飲食サービス業で32.8%となっています。有給休暇の取りづらさは事業内容などにもよるでしょうが、それでも国が定めた今回のルールを守らないわけにはいきません。有給休暇が取りづらい雰囲気の職場では、“強制5日取得制度”の開始は朗報といえるでしょう。
.

 逆に、忙しさなどを理由に有給を取りたくないと、自ら取らずにいた人にも影響は及びます。発生から11カ月を経過した時点でまったく消化していない場合は、最終月の12カ月目がどんなに忙しくとも5日間の消化が義務となります。年度末の「仕事の予定」や「目標の達成」にも影響が出てくる可能性があり、自らその分休むことを見込んでおく必要があります。

 その年次有給休暇はどのタイミングで発生し、どう計算するのでしょうか。ここで、その基本に触れておきたいと思います。

つづく リンクを参照してください。
nice!(0)  コメント(0) 

第5回怠ける権利!学習会 [イベントなど告知]

次回学習会は、3月16日(土)午前10時くらいからだらだらと、いつものフリーターユニオン事務所にて

「社畜」ということばももう「死語」化していますが・・・。
あらためて、「休む」「休暇をとる」ことの困難さを思い知らされる今日この頃です。
今年は10連休だとかいうゴールデンウイークですが、普通に有給休暇とりましょう。

次回は第5章  
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


第5章「社畜」の誕生──「包摂型社会」のゆらぎのなかで

1「右肩上がりの時代」の終わり──プラザ合意からバブル崩壊まで

プラザ合意と円高不況──日本とアメリカの「相互植民地化」
サッチャリズムとレーガノミクス──新自由主義の時代
国鉄民営化が意味するもの──中曽根康弘と「戦後政治の総決算」①
破棄された社会契約──戦後政治の総決算②
バブルとその崩壊


2「社畜」の誕生

「田中さんはラジオ体操をしなかった」
いじめの「発見」
「包摂型社会」の勤労者像としての「サラリーマン」
「排除型社会」の出現/「社畜」の誕生──「包摂型社会」のゆらぎのなかで
個人は弱し、法人は強し



3 男と女と若者と──「社畜」の時代の文化革命

資本主義の文化的矛盾とアノミー
「ダメおやじ」──「社畜」の家庭内表象としての
「女の時代」の虚実
「社畜の国」が生んだオタク文化
nice!(1)  コメント(0)