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FUF通信48号 [組合活動]

通信48号を発行しました。



人間らしく働き、生き延びるために 

 私たちは、どのような時代にどのような存在として生きているのか、それを考えることは人間である限り大切であり避けられず、それこそが「人権」とは何かを問うことだろう。個が尊重されるためには、一人ひとりがその人らしく尊重されなければならない。前号通信より朝鮮学校の先生らの思いを連載しているが、前回のチェ・リョナさんが言う「自分らしく」ということの意味だ。当たり前に保障されていると思っていたことがそうではなかった、差別や弾圧の歴史や現在があることを自ら学び、改めて自分とは何かを考え、自分らしく生きることを追求して、彼女(彼)らは朝鮮学校というコミュニティで生きている。それによってより自分らしさを身に着けて生きていこうとしている。このことをもっとさまざまな角度から私たちと同じ時代に、同じ国、地域に生まれて生きてるものたちとして相互に刺激しあうことで自分らしく生きていきたい。
 私たちフリーターユニオンに集うものたちは何者なのか。それは資本に対しての「持たざるもの」、現時点ではフリーターという言葉で表してきた非正規雇用問題があり、正社員に対する非正規雇用労働者への差別も厳然としてあり、同じ労働者としての人権を侵害している。正社員が非正規雇用を差別してるのではなく、国の政策、企業の待遇がそうさせている。この「差別」を容認したまま、国は男女雇用均等法だとか、同一労働同一賃金を謳った有機雇用労働者法などが立法されていることにも矛盾が存在するのではないか。
 そのようなことを前提に今回の年末企画のテーマはある。「人権」とは何か?ヘイトとは?ハラスメントとは?差別とは?を問う学習を行った。自分自身の人権が保障されずに、他者を思いやることなどできず、この社会の片隅に生きる自分は何者なのか考え広い世界を見ることこそが、生きやすさにつながるのではないか。日常的には、職場の「人間関係」が面倒だとか上司の誰が嫌だとか、それ自体はどこにでもありふれたことであるが自分にとってはこの世の終わりかのようにも思える。しかし、その職場から離れてしまえば他の職場でも似たり寄ったりのことは起こり得ることがわかる。すなわち、ハラスメントや人権といった視点を持って自分が自分らしく働けるかどうかは、資本主義というイデオロギーに支配された資本制社会で起こっている問題に起因する普遍的な課題でもあるのだ。
 近代は、個の尊重が謳われ、とりわけ日本でも戦後民主主義において個人主義がもてはやされ、お金さえあれば一人で生きていける?大家族や地域の力を借りる必要もない?そういった「個人化」が行き過ぎた。それで「団結」なんてできるのかということだが、個人主義が悪いといってるわけでもない。一人ひとりが自分の意見を持ち、主張し、自分という個を問い、「持たざるものたち」にとって生きやすい社会とはどのような社会であるのかを学ぶこと、ぐだぐだと述べたがそれこそが「共に」であり、個の「自立」だろう。

 今回の年末企画の提案は、大学で刑法を専門に教鞭をとる組合員である櫻庭さんによる「インターネットのヘイトスピーチ炒め~ほんのり労働法ソースを添えて」とのタイトルで、ざっくり言えばヘイトスピーチ規制法と差別やハラスメントとの関連を整理して、持たざるものたちが働く現場で起こるハラスメントなどとの関連や身近になったSNS上の問題についてわかり易く整理されたものであった。以下、レジメのまとめを引用する。

・特定人に向けられていないヘイトスピーチの規制は難しいが、一方でオフラインでは使用者の労働者に対する影響力・労働環境などを考慮することで、他方でオンラインでは大規模プラットフォーム事業者の影響力に伴う社会的責任に着目することで、規制の糸口がみえはじめている。 ・法学的には、ヘイト発信者を刑法上の犯罪として処罰する!という直接的アプローチよりも、使用者や企業のヘイト阻止義務として構成する間接的なアプローチへの注目。 ・差別論的には、加害者の意図や行為よりも被害者への効果に着目するアプローチの萌芽 ・そしてなによりも、使用者や大資本に抵抗するFUFと、なんとなーく共通の問題意識がある気がしませんか!?

 久しぶりに福岡まで足を運んでくれた櫻庭さんはじめ遠方在住者や初期からの組合員などなど多くの組合員が集い、組合員の提案による年末企画そして手づくり鍋を囲んでの忘年会を行うことができた。このことこそが、労働組合の存在意義であり、それぞれが労働組合を必要としてるという証だと確信でき、楽しい時間となりました。


学習会感想ーヘイトスピーチ規制における労働組合の役割

 何とか忘年会には間に合いましたが学習会には出られず。「レジュメは読んでいます」ということで、思ったことを書いてみます。
 労働法的な観点を入れた(ということは、労働組合の観点からの)ヘイトスピーチについての議論というのは非常にユニークなもので、また、労働組合がヘイトスピーチに対抗するための法的根拠、ヘイトスピーチ規制における労働組合の役割を知ることができ、非常に参考になりました。直で聞けなかったことを後悔しました。自分なりに参考になった点をまとめてみると、次のようになります。
 「職場環境配慮義務」の中に、差別的な言動が職場で行われることを禁止したり、差別的思想が職場で醸成されたり、人種間の分断が強化されないように配慮する義務があり、それを怠ると不法行為又は債務不履行の責任を使用者が問われるわけで、差別の問題は職場環境配慮義務違反という具体的な債権債務関係を発生させる法律上の問題となる。以上の形で差別の問題を設定するならば、差別の問題が団体交渉の議題となることは明白となり、このような交渉を通じてヘイトスピーチ問題、差別問題に関与することができ、また関与していかねばならない。ということになるのではないか。櫻庭さん、示唆に富んだ発表していただきありがとうございました。










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