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ジェネレーションレフト学習会しました! [組合活動]

組合員によるレジメをもとに報告を受け、意見交換を行いました。
欧米での動きとしてある若者の社会主義的傾向を分析したものですが、では、果たして日本の若者はどうなっているのだろうか?など、妄想を話し合ったりしました(笑)
1990年代以降に生まれた世代のみなさんが、何を考え、どう生きていこうとしてるのか、これからも共有していきたいと思います。


2022年3月19日

「ジェネレーション・レフト」

序文
 若者の左傾化という新しい傾向。「ジェネレーション・レフト」という左派を支持する若い人たちが存在する。年齢と階級は、現実において変化しつつある階級構成を把握するための最も重要な指標である。
 上記のような格差や分断が生じる要因の一つとして、資産保有の格差がある。年金や金融資産として運用し、持ち家を所有している55歳以上、特に65歳以上とそうではない若者、資産価格の上昇から恩恵を受ける世代とそうではない世代という例を出している。
 現在のコロナのパンデミックや気候変動は世代間の政治的分裂を固定化することになり、これがジェネレーション・レフトを形成することになる。
 
1,世代の再考
 年齢が政治における分断の決定的な要素として現れてきた。現代の世代的分断には独自の特徴があり、それを理解するには政治的世代に関する新たな概念が求められる。
 世代の形成について、マンハイムの世代論に依拠しつつ、出来事という概念を用いて説明をしている。
出来事:社会の常識を打ち破るような変化が突如として起こる瞬間。発生した出来事を受け止める際に、知的ないし精神的資質に年齢層によって大きな違いがあれば世代間の分裂が起こる。
 階級構成分析:
①階級は資本の自己増殖の必要性が人々の生活を構造化し制約する特殊な在り方によって構成される(技術的構成)
②労働者階級が資本から自律性を獲得するための衝動(政治的構成)

2,取り残された世代
デイヴィースの新自由主義の時代区分、マーク・フィッシャー資本主義リアリズムに依拠しながら、統治モデルとしての新自由主義がどのように展開してきたかを説明している
富を共有し支配関係が存在しない社会の実現へ向かう、つかの間でも繰り返し立ち現れてくる可能性を潰し続けるメカニズムとしての資本主義

・新自由主義の戦闘的段階
新自由主義は…60年代末から70年代初頭に花開きつつあったリバタリアン的コミュニズムにおける民主主義の実験を、それを想像することさえできなくなるレベルにまで徹底的に破壊することを狙ったプロジェクト

・新自由主義の規範的段階(1989~:新自由主義以外に選択肢が存在せず、「第三の道」の中道左派が、新自由主義を社会的保守主義から切り離しフェミニズムや反レイシズム、ゲイ解放運動の消費主義と競争的労働市場に親和的になりうる諸要素に結び付けた
競争的志向を軸に社会全体を再編し、「市場」への参加の訓練を通じて、特有の施行や行動様式を身につける。これが人間本来の姿ととらえることが常識となるが…それは人間が生きられるものではないためうつ病、不眠症、精神疾患などが蔓延することになる。

・新自由主義のゾンビ的段階2008年以降:10年にも及ぶスタグネーション(経済停滞)にもかかわらず、自らを改革できない。負債を抱えて生きていかなければならないが、投資に見合うリターンがもはや期待できない。

結論として、2008年の危機はスローモーションで発生し、年齢が社会の裂け目となったのである…それまで我慢できていた世代間の不平等が、ここで突如として耐えられなくなった。新自由主義的野心が一斉にではなく徐々に失われていったことで若者が世界を理解することができなくなるという危機を生み出した。新自由主義の危機はまだ終わっておらず、この世代がどこに向かうかによって、その危機がどのような結末を迎えるのかが決まる。

3,ジェネレーションの爆発
受動的出来事:自然現象のように制御不能な外からのちからによって引き起こされたように感じる出来事。あらゆる可能性が閉ざされていくような感覚に陥る
能動的出来事:当事者が他者とともに能動的に築き上げたものとして経験する出来事。社会的、政治的可能性を拡張できることがある。左派の世代統一は、能動的出来事によって形成されていく。3章は能動的出来事について述べられている。

・過剰の瞬間:これまで我慢できていたことが突如として耐えられなくなる瞬間、制度の論理によって制約された社会的・政治的可能性の収縮を乗り越える瞬間。個人的な行動から生まれることもあれば、集団的行動から生まれることもある。
 人々の態度や政治的問題の変化を結晶化させることで、新たな政治的構成の出現を把握するために決定的役割を果たす。過剰の瞬間は過去の伝統とは無関係ではないが、過去の伝統を無批判に反復するのではなく新たな形態が現在の情勢との結びつきを認識せねばならない。
 
 ・2008年が「受動的出来事」であるなら、2011年のアラブの春、スペインのM15、OWSの運動がジェネレーション・レフトを生み出す「過剰の瞬間」であった。これらの運動はアセンブリー(集団合議)が主要な組織形態となり、そこで参加者が自分自身を表現することにより各自が抱える共通するテーマを見つけ出すことで、自分が新たに生まれつつある政治的主体と認識するようになった。

4,選挙論的転回
 選挙論的転回:2011年の様々な行動の結果世代統一が形成され、その世代が選挙政治へと向かっていった。ギリシャのシリザ、スペインのポデモスの台頭、ジェレミーコービンやバーニーサンダースの支持率の上昇。

 1989年の出来事をきっかけとする「第3の道」左派世代は、社会を左寄りにすることをあきらめ、新自由主義と妥協することを選んだ。変革の可能性をつかむよりもある特定の政治的な分析や政治的理念あるいはその失敗に固執する左派メランコリーにとりつかれた結果、ジェネレーション・レフトの選挙行動を理解できなくなった。
 しかし、左派的理念に惹かれる人も存在し、ジェネレーション・レフトが若者の間でヘゲモニーを握る可能性も目の当たりにした。そこから戦略を立てていかねばならない。
 ・議会外の力を行使することを通じて、資本の力に対抗すること、①通常の企業活動を妨害する力、社会的ストライキ。②これまでと違うことをする力、コモンや共同セクター、連帯経済を発展させていく力を挙げている。
・異なる機能を発揮しながらどれか一つが他を従属させずに調和的に働く組織の有機的関係、いわばエコシステム「組織間の機能的相補関係」 
選挙プロジェクトは運動、シンクタンク、自治体のプロジェクトや自治組織ネットワークなどに組み入れなければならない

5,成人モデルの改革
 ・成人モデルは経済的に安定した仕事について財産を形成するという、私有財産を核にして形作られている。私有財産は誰かに財産を奪われるのではないかという恐怖心を内包したものである。
・2008年の金融危機は私有財産では私たちの未来を保証するのに十分ではないことを明らかにした。既存の成人及び高齢化のモデルは…恐怖心に駆られて社会的に孤立した主体を生み出す装置なのであり、これによって人々は老後になるとあたかも疫病のように一斉に孤独にさいなまれるようになる。そして、この孤独感が極右に傾倒する素地を作り出す。
 ・競合的でない財産、コモン(共有財)を軸にして成人モデルを構築すること。コモンを維持管理するためのコミュニティーが必要となるが、それは個々人が協働するための集団を作り出すことになり、これは民主主義的管理を鍛えるだけではなく、真のセキュリティを築きあげる試みでもある。
・ユニバーサル・ベーシックインカムとユニバーサル・ベーシックサービスが国家によって提供されることで、仕事と私生活の両方をコントロールし、責任ある大人であるために経済的自立をする必要がなくなる。大人としての責任は広義のケアを軸に捉えなおす。
・退職者がジェネレーション・レフトに提供できるものは自由時間であり、若者は社会性を提供することで老後の孤立感や孤独感を克服する手助けができる。現在の世代間の断絶を階級構成の変化の結果であると捉えれば、階級としての利害は共有でき、断絶に架橋することは可能である。

「ジェネレーション・レフトは勝利しなければならない。そしてケアのエートスを拡張して地球規模のコモンを築かなければならない。未来は左派世代の敗北にもうこれ以上は耐えられないのだから」



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